CO2 FREE(低炭素社会の実現)

地球温暖化の抑制に向けては、気候変動枠組条約のパリ協定(2℃目標:産業革命後の気温上昇を2℃以内に抑える)が発効するなど、世界的な取り組みが加速しています。
川崎重工は、エネルギーを無駄なく利用する製品とものづくりで、グローバルに地球温暖化防止に貢献します。

第10次計画目標

CO2売上高原単位を2021年度に2013年度比20%削減(当社単体)

低炭素社会の実現

自家発電設備の積極活用
工場別のエネルギー需要を検討し、具体的な導入計画を立案する。導入方法は、自社設備投資、もしくはエネルギー供給会社への製品販売後のオンサイト発電サービス利用を検討

再生可能エネルギー活用
当社工場屋根を利用した太陽光発電の電力購入

省エネルギー活動
エネルギー見える化システムを活用したさらなる省エネと老朽化更新設備の省エネ化

Kawasakiグリーン製品をはじめとした製品貢献によるCO2排出量削減効果の拡大


生産活動におけるCO2排出量の削減

当社は、生産活動で発生するCO2売上高原単位を、2021年度に2013年度比で20%削減する目標を設定しています。目標を達成するための重点施策として、自家発電設備の積極活用や再生可能エネルギー活用の実現に向けた活動を行うとともに、これまで行ってきた省エネルギー活動を引き続き推進します。
2019年度におけるCO2?売上高原単位は、2013年度比で21.6%減少し22.8t-CO?2/億円となり、2021年度における目標を達成するペースで推移しています(図1)。CO2?排出量原単位が減少した要因は、省エネ活動によりエネルギー使用量を抑制したことと、購入電力のCO2?排出係数低下によるものです。

図1 生産活動におけるCO排出量

サプライチェーンにおけるCO2排出量の算出

当社グループの生産活動におけるCO2排出量及びエネルギー使用量を図2、3、4に示します。また、サプライチェーンにおけるCO2排出量※を表1、2に示します。当社に求められるCO2排出量の把握範囲は、「自社の排出」から「サプライチェーンにおける排出」へと向かっていますが、サプライチェーン全体では、当社が販売した製品の使用に伴う温室効果ガス(GHG)の影響が非常に大きいことがわかります。現在、「製品貢献によるCO2排出量の削減」を推進していますが、今後、さらに積極的に展開していきます。

  1. サプライチェーン排出量の算定基準には、国際的に認められたGHG算定と報告のガイドラインであるGHGプロトコルが策定する「Scope3基準」等があります。日本では、環境省?経済産業省共同の「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等に関する調査?研究会」の分科会「排出量算定分科会」が、Scope3基準の"日本版"とも言える「基本ガイドライン」を作成しています。当社は、この「基本ガイドライン」に沿って、サプライチェーンにおけるCO2排出量を算出しています。
図2 生産活動におけるCO?排出量(会社別)
図3 生産活動におけるCO排出量(Scope1、2別)
図4 生産活動におけるエネルギー使用量(会社別)

2019年度 川崎重工グループ全体のScope1、2算定結果

カテゴリー 算定対象 算定結果
(万t-CO2/年)
Scope 1
直接排出 自社での燃料の使用や工業プロセスによる直接排出 16.9
Scope 2
エネルギー起源の間接排出 自社が購入した電気?熱の使用に伴う間接排 29.0

2019年度 川崎重工のScope3算定結果

カテゴリー 算定対象 算定結果
(万t-CO2/年)
Scope 3(その他の間接排出)上流
①購入した製品?サービス 原材料?部品、仕入商品?販売に係る資材等が製造されるまでの活動に伴う排出 194.0
(1.6%)
②資本財 自社の資本財の建設?製造から発生する排出 23.8
(0.2%)
③Scope 1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 他者から調達している燃料の調達、電気や熱等の発電等に必要な燃料の調達に伴う排出 3.7
(0.0%)
④輸送、配送(上流) 原材料?部品、仕入商品?販売に係る資材等が自社に届くまでの物流に伴う排出 0.8
(0.0%)
⑤事業から出る廃棄物 自社で発生した廃棄物の輸送、処理に伴う排出 1.2
(0.0%)
⑥出張 従業員の出張に伴う排出 1.3
(0.0%)
⑦雇用者の通勤 従業員が事務所に通勤する際の移動に伴う排出 0.7
(0.0%)
⑧リース資産(上流) 自社が賃貸しているリース資産の操業に伴う排出(Scope 1、2で算定する場合を除く) 0.0
(0.0%)
Scope 3(その他の間接排出)下流
⑨輸送、配送(下流) 製品の輸送、保管、荷役、小売に伴う排出 0.0(0.0%)
⑩販売した製品の加工 事業者による中間製品の加工に伴う排出 対象外※1
⑪販売した製品の使用 使用者(消費者?事業者)による製品の使用に伴う排出 11,855.0
(98.0%)
⑫販売した製品の廃棄 使用者(消費者?事業者)による製品の廃棄時の輸送、処理に伴う排出 対象外※1
⑬リース資産(下流) 賃貸しているリース資産の運用に伴う排出 対象外※2
⑭フランチャイズ フランチャイズ加盟者における排出 対象外※2
⑮投資 投資の運用に関連する排出 17.3
(0.1%)
  1. ※1現時点では参考となるデータが確認できていないため、算定対象から除外する。
  2. ※2当社事業の範囲外のため、算定対象から除外する。

物流過程におけるCO2排出量の削減

当社は、サプライチェーンの一部を占める物流(Scope3カテゴリー4「輸送、配送(上流)」)におけるCO2排出量の把握および省エネ活動の推進を実施し、継続的なCO2排出量の削減を目指しています。
2019年度は、遠方への船舶による貨物輸送量が減少したことでCO2排出量は2018年度比4%減少し、約4,100t- CO2(エネルギー使用量は約6万GJ)でした。過去5年間の推移は、図5および図6に示すとおりです。

図5 物流過程におけるCO?排出量と原単位
図6 物流過程におけるエネルギー使用量

自家発電の導入検討

当社は、ガスタービン?ガスエンジンによる自家発電設備を活用し、工場内でエネルギーを効率よく利用しています(図7、図8)。第10次計画では、高効率なガスタービン?ガスエンジンの導入や、より一層の排熱利用等を進めることでCO2?排出削減を目指す検討を開始しました。
2019年度は自家発電設備を運用している工場を中心に現状の課題を整理し、自家発電設備の更新や新規導入の検討に着手しました。各工場における電力と熱の需要、経済性、および課題を考慮し、購入した電力やボイラで作った熱とバランス良く組み合わせて効率的にエネルギーを使用できるように発電容量や設備構成等の基本検討を行っています。今後は基本検討を完了させた後、詳細な設備構成や導入方法等の計画を具体化し、実行していきます。
また、当社は2030年におけるCO2排出量を2013年度比26%減とする目標を掲げています。目標達成のためにはより一層のCO2排出量削減が必須であるため、使用時にCO2を排出しない水素燃料を利用した自家発電設備の導入も検討していきます。

図7 明石工場の自家発電設備(ガスタービン)
図8 神戸工場の自家発電設備(ガスエンジン)

再生可能エネルギーの利用

当社は、工場からのCO2排出量を削減する取り組みとして、生産設備等の省エネ化に加えて再生可能エネルギーの利用を進めています。これまで各工場への太陽光発電設備の設置を進め、グループ会社を含めて4,178kWの発電容量を保有しています(表3)。
2019年度は4,883MWhを発電し(図9)、このうち1,526MWhを自家消費しました。

  1. ※1当社全体の電気使用量の0.3%に相当

表3 川崎重工グループの太陽光発電設備

名称 電力利用の形態 発電容量(kW)
岩岡発電事業所※1 FIT※2による販売 1,505
名古屋第一工場 自家消費 750
西神発電事業所※1 FITによる販売 701
西神戸工場 自家消費 505
西神戸発電事業所※1 FITによる販売 422
明石工場 自家消費 140
坂出工場 自家消費 50
加古川発電事業所※1 FITによる販売 48
兵庫工場 自家消費 25
神戸工場 自家消費 20
川重冷熱工業(株) 自家消費 6.6
播磨工場 自家消費 5
合計 4,178
  1. ※1川重商事株式会社運営の発電設備
  2. ※2FIT:再生可能エネルギーの固定価格買取制度
図9 太陽光発電量(FITによる販売量を含む)
図10 名古屋第一工場 750kW発電設備
図8 神戸工場の自家発電設備(ガスエンジン)

省エネ推進活動

当社は事業部門ごとに省エネ推進体制を構築し、全社を挙げて様々な省エネ活動に取り組んでいます。
2019年度は精密機械ディビジョン(旧:精密機械ビジネスセンター)西神戸工場の「各種熱源に対する省エネ活動」を工場省エネ改善大賞として表彰しました。この改善は、多額の設備投資をせずに製造現場の工夫で、省エネ効果の大きい複数の改善を実施したことを高く評価したものです。改善の一例を以下に紹介します。


出荷前の製品の試運転が行われる大きな建屋では、試運転設備が熱気を発するため、すぐ側の作業エリアでは暑さが問題となりました(図12)。

図12 改善前の作業エリアの様子


対策を検討した結果、空調設備を増強するのではなく、既存空調設備の冷気(冷風)をうまく活用すれば暑さ対策ができると気づきました。冷風の吹き出し位置と向きを工夫して、冷気で作業者エリアの熱気を置き換えることにより、暑さ問題を解決することができました(図13)。

図13 改善後の作業エリアの様子

製品貢献によるCO2排出量の削減

当社製品のライフサイクルで排出されるCO2?の90%超は販売後の使用時に発生していることから、当社では使用時のCO2排出量が少ない製品を提供することにより低炭素社会の実現を目指しています。
販売した製品の使用時のCO2排出量を削減するために、製品のエネルギー利用効率を向上するとともに、電動化やモーダルシフトによる既存製品の置き換え、排熱?廃棄物?再生可能エネルギーを利用した製品の拡大を促進します。主要製品を図14に挙げており、このような製品による地球温暖化緩和への貢献を定量化するため、製品貢献によるCO2排出量の削減効果の算定ルールを2017年度に改定しました。
このルールに基づいた算定の結果、当社が2019年度に販売した製品によるCO2?排出量の削減効果は約2,314万t- CO2でした。これにはKawasakiグリーン製品である信頼性?経済性?環境性に優れた「M7シリーズ等の発電用ガスタービン」や、世界最高クラスの出力密度を達成した「HST※1用モータ M7Vシリーズ」等が大きく貢献しています。

図14 使用時のCO排出量の削減に貢献する主要製品(事業分野別)

【算定ルール】

  • 評価対象製品:Kawasakiグリーン製品をはじめ、排熱?廃棄物?再生可能エネルギーを利用した製品や、コージェネレーションシステム、モーダルシフトに関する鉄道車両等を評価対象に選定。
  • 評価対象期間:2016年度までは1年間としていましたが、算定ルールの見直しにより、2017年度より販売した製品の想定使用年数を評価対象期間とするフローベース法を採用。当社製品は想定使用期間が長いため、使用期間にわたる当社製品と業界標準クラス製品とのCO2排出量の差を算定。
  1. 温室効果ガス削減貢献定量化ガイドライン(経済産業省、2018年3月)を参照。